第150話以降で、「Zorki ZK」を紹介しました。Zorki ZK 1.5/50 はJupiter-3 として、Zorki ZK 2.0/50 はJupiter-8 としてロシア国内でリリースされました。f=1.5は、3群7枚。f=2.0は、3群6枚です。

第二次世界大戦当時、ロシアは、ドイツのCONTAX(レンジファインダーカメラ)の性能を高く買っており、自国でも同等の工業品の生産を目指しました。
つまり、第二次世界大戦の勝利国は、世界最高のドイツのカメラ・レンズ技術を一気に手に入れた訳です。

Jupiter-3、-8,-9 は、皆、SONNAR 型のレンズ構成ですね。
TAKUMAR にも、SONNAR 型はありますが、XENOTAR と何が違うんじゃい、と、首をかしげるものもあります。
今回のレンズは、「変形ダブルガウス型」に仕分け・整理されているレンズなんですが、私的には、「変形SONNAR型」なんじゃねぇ?って思っているレンズがありますので、色々と言い訳をつぶやきながらでの紹介です。

DSCF8005

Asahi Opt.Co Super-Takumar 1.4/50 M42 です。
この製造番号、1165564 は、結構古い部類です。
Asahi の「a」も、このa じゃなくて、右側が一直線に下っている「α」みたいなエェェ(´д`)ェェエです。フォントがありませんが、写真で確認を。あと、赤外線指標も、被写界深度f=4の内側か外側か、差があります。内側にあるものが古い。
この費用の掛かる高度なレンズ構成をもって、「Super-Takumar 」の名を冠した、とも言われています。
どんな、レンズ構成かというと。。。

Super-TAKUMAR 1.4-50

こんなカンジ。。。
6群8枚構成です。
俗に、8枚タクマーなんて呼ばれています。
絞り羽が8枚じゃないですよ、レンズが8枚です。
絞り羽は、6枚ですがね。
再度繰り返しますが、このレンズ構成は、「変形ダブルガウス型」だそうです。

イントロ部分のSONNAR型のレンズを少々。
ZK-85 っていうか、Jupiter-9 です。

SONNAR 85

前群は、貼り合わせ ⇔ バラバラでも、肝は後群であり、3枚合わせだと、SONNARなんじゃね?って思うんですけど、凹凸の度合いが違いますね。TAKUMAR は強い凹、Jupiter-9 は平面凹ですか。
その後ろも、1枚か2枚足りないな。総体は、3群7枚ですね。
当時の旭光学工業の凄いところは、Zeiss が「張り合わせた前群」を剥がしたところにあり、1枚・1枚にバラした結果、すり合わせることも必要ないし、バルサム切れもないし、安くできるし、光学性能も良かったことにあります。
普通、Zeiss が作ったものは、キチンと真似るのがミソであろうに、バラしちゃうなんて、ハッキリいって、「掟破り」ですね。

今度は、Jupiter-8 です。

JUPITER8 1

これは、はっきりと違いますね。。。
でも、見ようによっては、貼り合わせ3枚の後2枚を1枚にしちゃいました、風にも見えますね。
「ダブルガウス型」は、向かい合うカンジなんですよね。
SONNAR 型は、集めた光を発射するカンジなんですかね。

因みに、XENOTAR 型を。おさらいの意味で。

smc PENTAX-M 2.0/50 PK ですね。

PENTAX-M 2.0-50 (2)


「向かい合う」っていうと、こんなカンジですかね。
更に、XENOTAR 型をもう一つ。
Takumar 2.2/55 M42 です。

Takumar 2.2-55 (2)

これも、何気に「向かい合う」カンジですね。
どっちかというと、Super-Takumar 1.4/50 M42 は、XENOTAR 型に近いのかな。
3枚貼り合わせを見ちゃいますとね、どうもJupiter-9 にとっても似てると思ったんですがね。
前群は、張り合わせず、バラしていますね。
後群も、貼り合わせなきゃいけないところを1枚で代用してるか、に、見えますね。3枚を1枚で、みたいな。。。
反って、XENOTAR 型って、ダブルガウスに似てね?って思いますが、そりゃあそうです。
XENOTAR は、ダブルガウスの前群とTOPOGON の後群とのハーフですからね。

さっ、訳のわからない独り言は止めて、Super-Takumar 1.4/50 の紹介にしますかね。
このレンズは、先の紹介のとおり、この標準レンズでNIKON も CANON も、更にはドイツ勢もブッチだぁ、と、思ったんでしょうね。旭光学工業。
Takumar ➡ Auto-Takumar と来て、この6群8枚の、おまけに後群は難易度の高い3枚合わせとくりゃあ、正に、「Super」だろうと。
だから、Super-Takumar です。

この後、この6群8枚は、製造コストが高く、難易度も高いレンズでしたので、6群7枚のレンズになりました。
この6群7枚は、皆さんご存知のとおり、Takumar が世界に先駆けて「世界標準の規格」とも言える「標準レンズの基本形」として定着させたレンズ構成ですね。すげぇ。

DSCF8002

このレンズは、PENTAX SP をお供に連れてきました。
全然綺麗なカメラで、PENTAX 機はコンディションのイイカメラが多いですね。
皆、丁寧に保管して来られたのでしょう。何年経ってんだ?

DSCF8004

コーティングは、正に、Super-Multi-Coated と同じ色味を示しています。
レンズは、単に、Super-Takumar ですがね。

DSCF8006

筐体は、Auto-Takumar の後期型と同じようです。

試写をPENTAX K-3 でしてみましょう。

ISO 400 開放 1/160 +0.7EV です。
WB は、マニュアルWB ですね。

IMGP0221

色味は、流石にTakumar/6×7 レンズにゃあ負けますかね。
割と渋チンな発色ですね。

今度は、マルチパターンオートWB で。
ISO 400 開放 1/160 +0.7EV です。

IMGP0222

高い解像度かと、思います。
XENOTAR 型とどう、写りが異なるのか?
楽しみですねぇ。。。