M42は如何でしょうか。

M42マウントレンズを中心に、バイクや機械式時計とともに遊んでいきます。

カテゴリ: KMZ

第175話で紹介しました、KMZ ZENIT MC Zenitar M2s 2.0/50 M42 は、人気のオールドレンズ、Helios 44M シリーズの最終型ですね。
解像度も凄いことになっていて、63/32本/ mm(中心/エッジ)ですからね。
見てくれのボディのチープさとは裏腹に、ダントツのスペックになっています。

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なめてますよねぇ、このチープさ。
しかし、ファインダー越しに見るその絵は、頭の中が崩れそうになるほど、理解不能なピークの嵐が吹きまくります。

ISO 200 開放 1/2900 +0.3EV です。

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ねっ。
「ありゃまっ」って、カンジでしょ。
そうなんです。
やはり、解像度の高いレンズなんで、ここまで、持っていっちゃうんです。
流石、KMZ です。
伊達に、「Zenitar」の名を冠していません。

ISO 200 絞り5.6 1/600 +0.3EV です。

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絞り込んだんで、被写界深度が深くなり、あちこち、パンフォーカス状態です。
非常に高い解像の中、ハイコントラストな絵になりました。

ISO 200 絞り5.6 1/280 +1.0EV です。

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明るくすると、河童のお皿が真っ白になっちゃいました。
今回の撮影では、いかにトップが白くならずに全体が表現できるか、腕の見せ所ですね。




第407話で、Xenotar 型のKMZ VEGA-3 2.8/50 M42改 を紹介しましたが、M42 ってホント稀で、普通はDKL モドキマウントですね。。。

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ISO 800 開放 1/1600 +0.3EV です。

DSCF0136

まぁ、普通だな。。。

四隅まで、「しっかり」と写るXenotar 型ですからね。
期待の絞り込みです。
ISO 800 絞り5.6 1/800 +0.3EV です。

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おっ。
まだ、浅いか。
でも、ナカナカの写りです。





第241話などで紹介した、KMZ MC APO TELE ZENITAR-M 2.8/135 M42 ですね。
このレンズの特徴は、なんといっても、色乗りです。
加えて、しっかりとした描写も魅力ですね。

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レンズのコーティングは、ロシアン独特です。

ISO 200 開放 1/6400 +0.0EV です。

DSCF8045

このレンズ、結構被写界深度が浅いですね。

ISO 200 絞り5.6 1/2200 +0.0EV です。

DSCF8050


ISO 200 開放 1/4000 +0.0EV です。

DSCF8052

被写界深度が浅い故、Bokeh 味も、結構、トロけ調です。
イイ写りかと。

ISO 200 絞り5.6 1/1400 +0.0EV です。

DSCF8053


今度は、PENTAX K-3 に変えてみましょう。

ISO 200 開放 1/8000 +0.0EV です。

.IMGP0175

ISO 200 絞り5.6 1/1600 +0.0EV です。

IMGP0177

やはり、PENTAX は、絞ると明るくなっちゃいますねぇ。

ISO 200 開放 1/5000 +0.0EV です。

IMGP0181

K-3 でも、被写界深度が浅いのは同じ。
イイBokeh 味してますね。

ISO 200 絞り5.6 1/1000 +0.0EV です。

IMGP0182


DSCF8129






第378話でも紹介した、KMZ Zorki ZK П 4.0/13.5cm L39 です。
古い時代のロシアンなんで、「桜の淡い色味」には、ピッタリかと。。。
私的には、色乗りよく、薄いピンクが表現できると、合格なのですが。

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このレンズは、1950年製です。
1951年製まで、「ZK」を冠しているのを確認しています。
「4」も先が尖っていて、間の空いてない「4」でした。

ISO 200 開放 1/200 +2.3EV です。

DSCF6095

蕾のピンク色がリアルでいいですね。
背景のBokeh もマズマズです。
もう少し、ボケてくれたら完璧ですね。

ISO 200 開放 1/140 +2.3EV です。

DSCF6096

これは、イイや。
ベストショット、と、言っていいでしょう。
淡い桜のピンクが良く出ています。
こんな淡い、白のようなピンクのような、綺麗な花が咲くのが桜なんですね。

ISO 200 開放 1/1250 ±0.0EV です。

DSCF6115

露光が、±0.0EV では、完全にアンダーです。
機械的には、平均なんでしょうにね。
背景のBokeh も汚いな。。。

DSCF6145



第335話で、清掃まで済みましたKMZ Zorki ZK П 4.0/13.5cm L39 ですね。
やっと、外に持ち出せることに。。。
Jupiter シリーズは、Sonnar の子ども達なんで、なんだかんだで良い写りですね。
どれを購入しても、失敗がない。

失敗どころか、オドロキの描写で、ビックリさせられちゃいますね。
今回は、どんな~~

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コーティングは、凄いんですけど、「ZK」としてみた場合は、⤵ですね。

ISO 200 開放 1/1250 +0.3EV です。

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おっ。
開放故、ジャスピンはないけど、ピン処として絵になってますな。
良かった。。。
フェンス支柱のBokeh 具合は、おとなしいですかね。
「全域解像」ってカンジですか。。。

ISO 200 絞り8.0 1/300 +0.3EV です。

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フェンス支柱の「質感」が高いですねぇ。。。
もっと、距離感のある被写体がお好みですかね。
ロシア故。
広大な大地希望、ってところですか。。。

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今度、Zeiss のSonnar と比べてみますか。
いろいろと、Jupiter lens も揃ってますしね。。。





前話に続き、KMZ のJupiter8 のП 2.0/50 L39 なんですが、1954製、NO.5418000 ですね。
こっちの方が、キレますよ。

IMGP0010

室内での描写はこんなカンジ。。。

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パット見、大した差はないんですが、機械的にはピークの差は結構ありますね。

最初は、前話と同じAWB です。
ISO 200 開放 1/1800 +0.7EV です。

DSCF1039-開

ねっ。
少し、こっちの方が鋭く描写してるでしょ。

ISO 200 絞り8.0 1/105 +0.7EV です。

DSCF1040

Jupiter-8 、中々攻めてきますねぇ。。。
こういうの、好きだわ。

もう、結果は解っちゃってますが、ホワイトバランスを「蛍光灯」へ。
ISO 200 開放 1/1800 +0.7EV です。

DSCF1037-開

この絵だけ見せりゃぁね。
「随分と桜色の濃い花」だね、で、終わっちゃいますかね。

ISO 200 絞り8.0 1/90 +0.7EV です。

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やっぱ、クドいと思うんだけどな。。。

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第161話辺りで頻繁に取り上げました、KMZ Jupiter8 П 2.0/50 L39 NO.5103352 ですね。
よくよく考えたら、あまり実写をお届けしてませんでした。
ZK(Jupiter-3)は何度かね。
Jupiter-8 は久しぶりの外出です。

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家の中では、こんなカンジ。。。

DSCF1026

次話でお届けいたしますが、ハッキリ言って、 '51 より'54 の方が解像度が高い。
ピークがはっきりと出るんですよね。
て、ことは、「ガラスの出自より新たなコーティング技術」が「上回る」ってこと。
と、いうことは、'51 には、Zeiss のガラスが少しは入ってますかね。
➡ ZK-135 じゃ、ヤラれちゃいましたからね。あのレンズは、最新式コーティングを身に纏っていたので、それはそれで、「写りは良い」結果でしたがね。

春も間近になってきましたね。
外では、早咲きの桜も満開~散る頃になってきました。
皆さんのお住まいの街では、どうですか?
まだ、咲いてない?

ISO 200 開放 1/1800 +0.7EV です。

DSCF1033-開

若干、SMOKY でしょうか。
でも、フジの色合い(プロネガスタンダード)と相まって、中々の雰囲気じゃございませ~ん。

ISO 200 絞り8.0 1/110 +0.7EV です。

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はい。
ぐっと、被写界深度が「深く」なり、大夫、全面的にハッキリとしましたね。
・・・そうだ。
よく写真のレポートで、「被写界深度」が「狭い⇔広い」と表現している方がいられますが、「深度」なので、「浅い⇔深い」が適正な表現ですね。
➡ 水深をいう時、浅い・深いは言うけど、「水深が狭い」たぁ言いませんな。

桜のような、「淡い色彩」の被写体を撮影する場合、ホワイトバランスを「蛍光灯」に設定すると、桜本来の色味が乗る、なんて、雑音を聞いちゃったものだから、即、実践です。

ホワイトバランスをAWB から蛍光灯へ変更し、ISO 200 開放 1/1900 +0.7EV です。

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ちょっと、花弁中央が「赤すぎ」ませ~ん?
フジの「蛍光灯」は、「蛍光灯1」と「蛍光灯2」があり、今回は、「蛍光灯1」の設定です。

続いて、ISO 200 絞り8.0 1/120 +0.7EV です。

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シャッタースピードは、開放も8.0 も、1/100~1/10 秒づつ早いですね。
色味こってり、豚骨風味だね。
濃すぎるわ。

この4枚の絵では、最初の1枚目がより自然かと。


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第321話のKMZ Zorki ZK П 4.0/13.5cm L39 No.5000480 が、バッチかったんで、清掃してみました。
案外、アルミ筐体のレンズを清掃したレポートってないんですよね。
私の師は、バッチイの嫌いですからね、徹底的に綺麗にしちゃってますね。

師曰く、「レンズ筐体の垢は、前所有者の油脂である」と。
うぅーん。名言だ!

と、いうわけで、レンズの垢は、「人の油脂」、「タバコのヤニ」とがが主たる構成物質ですかね。
そりゃぁ、レンズを使えば、指紋とか人の油って付きますわな。
レンズでさえ、ガラスにちびっと振れただけで、「くっきりと」跡が付いてしまいます。
新たに使用を始めるときには、気持ちよく、使い始めたいものですね。

現状は、こんなカンジ。。。

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ぐるりと一周、バッチさが取り巻いています。
何やら、人の油脂だけではなさそうですね。
タバコのヤニ、っていっても、「葉巻」かい!って思える状態です。
ニコチン・タール、目一杯しつこそうですね。。。

今回の主役はこれ!

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別に、「ウタマロクリーナー」でなければならない訳ではないです。
要は、「中性」のクリーナーである必要があるワケです。

クリーニング作業に取り掛かりましょう。
先ずは、垢の構成物質と思われるのは、「油脂」・「ヤニ」ですから、どちらも「温かいものに弱い」と思いますので、あったかお湯を含んだタオルで包みます。

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タオルが冷える前、に、外してフキフキします。
すると。。。

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あったかタオルだけで、こんなにきれいになっちゃいますが、完全に綺麗とはなりませんね。
でも、大夫キレイになりました。
アンティーク調がお好みなら、もう終了に近いです。

しかし、私はこんなんじゃ納得できませんね。
いよいよ、中性洗剤をホンの少々、あったかお湯が染み込んだタオルに染み込ませてから、フキフキ開始です。

すると。。。

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目では、「もうキレイか」と思う段階から、出るわ出るわ長年のヤニ!
すげぇ。。。汚えぇぇぇぇ!

で、一応キレイになったら、乾燥したタオルで念入りにフキフキします。
中性洗剤が筐体に残留しないよう、丁寧に拭き上げます。
少し湿ったタオルで一度拭いてから、乾燥タオルにするのもアリですね。

するとこうなります。

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じゃん!
とても、キレイになりました。
ロシア製の品質の悪いアルミ筐体らしく完成しましたね。
更にピカらせたい方なら、自動車のアルミホイール専用のピカピカワックスを塗布してもよいのでは。
おらぁ、ひかりモンに弱いんだ、というヒトね。

これからは、ZK-135 の詳解です。
紹介ではない。

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第321話で紹介したとおり、「4」が古いか、新しいかの一つの指標です。
この4は、頭が尖っているので、新しい。

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最短距離は、2.5M ですか。

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絞りは、プリセットではないですね。
第305話のKOMZ JUPITER-11 4.0/135 MC は、このZK とは筐体が違って、ファットタイプのアルミ筐体ですが、あちらはプリセット絞りでした。後年、プリセット化したのかな。
普通、古い方がプリセット絞りのような気がするんですがね。

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レンズ銘板を拡大して見てください。
「4」の先っちょが空いているでしょう。
これが古い時代のロシア製レンズの特徴です。
しかし、綺麗になりました。
レンズ筐体に、タオルの色味が写っちゃってます。

IMGP9835

なぁ。。。「マゼンタ色」が出ちゃっていてなぁ。。。残念です。
全然、ZK じゃない。
いえ、銘板だけ、ZK 。

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でもね、そそるっちゃ、そそりますね。このコーティング色。
単にJUPITER-11 として見ればね。

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こんな色のJUPITER-11 もあり。

DSCF8078

こんな色のもあります。
これは、Air-Force ね。
ブルー系、好きだわ!

ZK-135 の試写です。

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まぁ、お見事!
とても、1950年製の写りとは思えません。
とてもイイレンズだと思います。









Industar-50 3,5/50 なんですが、BLACK Version ! ってヤツですね。L39です。

ロシアのレンズにあって、Industar というのは、低位なブランドで「庶民向け」ってカンジですね。
いろいろなブランドがありますが、Helios がその上、Mir は公官署向け。・・・一番上はZenitar でしょうか。

なのに、Industar ・・・我が家にゴロゴロあります。
そして、割と頻繁に増殖しています。。。
あれっ?

俺、「中流階級」なんだけどなっ。
「庶民」じゃねぇぇぇぇぇ。
でも、Industar がゴロゴロあるっちゅうことは、「庶民」でしたっ。

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こんなカンジね。
安っぺぇなぁ。。。

IMGP9804

絞りリングを動かそうとすると、距離リングも一緒に回っちゃうんですよね。
だから、先に絞り値を決めといて、それからフォーカシングってのを強要されています。
これこそ、「絞り優先」測光・測距ですね!!
・・・庶民だからよぉ、働けっつーの。って、こら。
・・・どっちがご主人様だっちゅうの!!

IMGP9806

でも、このレンズ。
コーティングが、「青」なんです。
すっきり系なのかな。
期待できる、コーティング色です。


ISO 200 開放 1/1100 ±0.0EV です。

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ありゃあ。。。
高い解像度ですこと。。。
カリカリですな。。。
やばい。
これもイイレンズだっ。
色味は、Schneider っぽいですね。「青い」わ。

ISO 200 絞り5.6 1/480 ±0.0EV です。

DSCF8071

更に解像度アップ!!
こんだけ写りゃあ、文句なし!!

➡ 私、 Industar-50 3,5/50 M39 を買っちゃいましたが、皆さんは、 Industar-50-2 3,5/50 を購入したほうがイイですよ。50-2 です。なにせ、M42 なんで何でも来い!ですから。

おかげで、PENTAX で撮れないお邪魔lens になりました。








KMZ  RO3-3M 2.0/50 ですね。35mmムービーカメラ用のレンズです。

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うわぁ。。。
独特の特徴あるコーティングだ。
JUPITER-11 AIR FORCE に通じるコーティングですね。
こりゃあ、期待大だ。


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このマウントは、フランジバックがなく、ヘリコイドも付いているので、相当バラさないと満足の行く形になりませんね。
今回は、試写なんで、ビニールテープを巻いて、そのまま52mm のヘリコイドチューブに放り込んじゃいました。
現状、X-T1 のマウントには、4mm のFX リングと10mm まで縮むヘリコイドリングで丁度、無限遠が出る距離しか空いていません。

このレンズは、期待大なので、3ショットでお楽しみください。

先ずは、ISO 200 開放 1/3800 ±0.0EV です。

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カリッカリですね。
露出オーバーは、いけません。
X-T1 のファインダー上は、もちっと写っている予定だったんですが。
四隅で「光量落ち」がありますかね。
APS-C でギリッギリのイメージサークルなんでしょうね。
フルサイズの方、買わない方がいいですよ。

ISO 200 絞り5.6 1/1000 ±0.0EV です。

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絞り込むと、しっかりしてきました。
て、ことは、開放の近場ではBokeh も期待できそうですね。

ISO 200 絞り11.0 1/150 ±0.0EV です。

DSCF8068


絞れば絞るほどしっかりとした描写ですね。
相当の実力派です。
普通のレンズなら、8.0 も絞れば悲鳴が聞こえてきそうなものですが、なんのなんの、もっと来い!状態です。
カリッカリです。








第150話ですか、始まりは。
以降、いろいろ試して、最終は第237話でしたか。無限遠紀行で紹介しました。 Zorki ZK 。
敗戦国ドイツの資産を掠め取り作ったロシアのレンズです。ZK。

 もう古くてないからヤメたんですけど、うっかり見つけちゃいまして、買っちゃいました。
今度のは、50mm ではなく、135mm = 13.5cm ですね。

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KMZ のマークを挟んで、左側は「Zorki」、右側は「ZK」です。
製造年は、1950年で、480本目ですね。
しかし、この色。。。コーティングがマゼンタ強く⤵⤵⤵ですわ。おえっ。

1949年のZK は、こんな色。

DSCF8043

黄色っぽいんですよね。
SEPTON の黄色を薄くしたカンジです。
シアン系のコーティングさえ確認できます。
1年しか違わないZK ですが、早くも最先端のПコーティングへと変更されてしまいました。
これでは、ドイツ産のレンズが使用されているかどうか全く不明、というよりは、1950年の480本目にして既に使用していない、と、言わざるを得ません。ZK 名義の銘板を持っていますがね。
とほほ。。。1951年までセーフだと、思っていたんですがね。。。

Sovietcams.com によると、最初期型はPT8205 。KMZにより、1948-1949年に渡って製造。
次は、PT8210 。同じくKMZ により、1949-1951年に渡って製造。これは全体or部分的にZeiss のレンズを使用とのこと。
次は、PT8215 。同じくKMZ により、1950 - 1959年に渡って製造。既に「Jupiter-11」という通常の名前になったそうです。
え"ぇっ、1950-1951の2年間、カブっいるじゃん!
まじかっ。

ISO 400 開放 1/680 ±0.0EV です。

DSCF8015

あれっ。
流石、Zeiss もどき。
KOMURA の各レンズより、私は好きな色乗り・解像度ですねぇ。
とてもしっかりと写してくれたと思います。
夕日の反射も、よろしい。

ISO 400 絞り8.0 1/170 ±0.0EV です。

DSCF8016

絞り込んでも、Bokeh 具合はZeiss 一家って気がしますね。
8.0 でも、まだBokeh ています。

DSCF8039

長年の垢が気に入りませんね。
追って、クリーンアップの記事を載せましょうかね。
レンズはとても綺麗で、絞り羽も大丈夫です。
ここで、このレンズの型番が判明します。
それは、被写界深度を表す「4」です。
PT8210 までの「4」は、頭が開いている4で、PT8215 以降の4は、頭が尖っている「4」に変更されています。
つまり、今回紹介しているモデルは、ZK 名義最終バージョンのPT8215 である、と、言えます。


DSCF8040


裏側には、「СДЕЛАНО В СССР」とあるのは、要は「MADE IN USSR」ということですね。
この表記も、PT8215 以降において表記されたそうですが、レンズ銘板は既に「JUPITER-11」になっているそうですので、筐体はJUPITER-11 のものを使用し、銘板はZK のものを使用したということになりますね。なんか、工場の都合で偶然生産された混合製品とも言えますね。
実質、JUPITER-11 なのでしょう。

Sovietcams.com によると、最初期型番は「5000952」とのことなので、またしても番号を更新してしまいました。
私が所有するこのZK-135 は、最終形であり、PT8215 の最初期型である、と言えます。











第115話でも紹介した、「滴るような」描写のレンズですね。
今回は、どんな写りですかね。

ISO 200 開放 1/400 +0.3EVです。

DSCF6193-ZENITAR APO-開

この浅い被写界深度により、自由な表現ができますね。
色味は、群を抜いて良いものと思います。

ISO 200 絞り8.0 1/90 +0.3EVです。

DSCF6194-ZENITAR APO-8.0

絞れば、このとおり。
表現も変わって、色の良さが前に出てきましたね。

ISO 200 開放 1/280 -0.7EVです。

DSCF6208-ZENITAR-開

開放でも、この解像。
凄いレンズです。

ISO 200 絞り8.0 1/52 -0.7EVです。

DSCF6209-ZENITAR-8.0

良い色味で、葉の1枚1枚まで解像して、「写真」になってしまいました。
もっと、もっとと、無限遠を求められている気がします。
こんな近くじゃ、このレンズの実力がでませんよ、と。

DSCF6307-APO ZENITAR


DSCF6308









第168話以降で紹介したKMZ Zorki ZK П 1.5/50 L39 です。
1949年、昭和24年製ですからね。
近場ならいざ知らず、「無限遠」・・・酷じゃないですかね。

ISO 800 開放 1/400 -0.3EVです。

DSCF6126-ZK-開

続いて、ISO 800 絞り2.8 1/110 -0.3EVです。

DSCF6132-ZK-2.8

絞り2.8 って、ほぼ開放ですから、8.0とか絞ったら、普通に使えちゃうんじゃないですかね。
結構、凄いことですね。
1949年製ですよ、これ。

ISO 800 開放 1/180 -0.3EVです。

DSCF6128-ZK-開

写りが悪いのではなく、霧です。
レンズ内の「霧」でもありません。

ISO 800 絞り2.8 1/58 -0.3EVです。

DSCF6131-ZK-2.8

ホント、絞り2.8なのに結構、解像してます。
恐ろしいOLD LENS です。

ISO 200 開放 1/400 ±0.0EVです。

DSCF6235-ZK-開

これはね、Mepro-KOMINAR の兄貴、いやおじいちゃんだな。

ISO 200 絞り8.0 1/26 ±0.0EVです。

DSCF6236-ZK-8.0

あらら。
あれっ?
流石、CONTAX RF 用のZeiss 硝材という、由緒正しいレンズですからね。
根性出しましたね。

霧が発生しているので、中央部はベールの中ですが、左手前の木々は良い解像をしてますな。
その時の「描写」という点では、合格なのではないでしょうか。
再度、おじいちゃんを連れ出して、頑張ってもらいたいですね。

DSCF6296-ZK


DSCF6297









第174話で紹介した、Helios ですね。
色味がとっても良くて、しかし、M39(Zenit)なので無限遠が心配で、今回参戦です。

ISO 200 開放 1/210 ±0.0EVです。

DSCF6035-Helios44

奥は、少しグルってますかね。
手前の苔は、Velvia の如きイイ緑に発色しています。

ISO 200 開放 1/640 -0.7EVです。

DSCF6155-Helios-開

いゃぁ、フジの色、爆発ですな。
Helios は、フジとも相性の良いレンズだと思います。
Industar やJupiter より発色がよく、ロシアンレンズ随一かと思います。
ロシアンレンズ買うなら、Helios 「だけ」ね。ヒミツだけど。。。

ISO 200 絞り5.6 1/125 -0.7EVです。

DSCF6156-Helios-5.6

すげっ。
バッキバキだっ。
フジの色って、「兵器」ですね。

ISO 200 開放 1/320 -0.7EVです。

DSCF6223-Helios-開

機械的には、インフ少し手前で無限遠は出ているんですけど、解像度がね。古いレンズなんで、勘弁して下さい。
ブログアップ時の原稿圧縮の影響も、多分にあると思います。

ISO 200 絞り5.6 1/56 -0.7EVです。

DSCF6224-Helois-5.6

おおっ、解像度が上がってきた。
色の階調も良くなった気がします。

ならば、ISO 200 絞り8.0 1/30 -0.7EVです。

DSCF6225-Helios-8.0

11.0 まで絞っても良かったみたいですね。
とても良い絵になってます。
凄い実力のあるレンズかと思います。
無限遠がM42 で出ていますので、整備時に調整済みになっていたものと思います。
これで、今後とも、遠慮なく撮影できますね。

DSCF6257-Helios


DSCF6258


特徴的な、「四角」を描く絞りです。
かっけぇ。

DSCF6259






今回は、Zenitar。
第115話では、圧倒的な描写力で。
第175話では、色味はイマイチでしたが、機械的には素晴らしいピン寄せでした。
このように、Zenitarはロシアンレンズの中でも、特筆すべきレンズであり、今回も期待しちゃおっかな。

DSCF0001-Zenit-M

なにせ、Jupitar シリーズでは痛い目にあっていますからね。
Helios シリーズでは、連戦連勝でしたので、Zenitar シリーズでもね。
Zenitar という冠名は、ロシアにとって、最上位の命名かと感じますね。

先ず、ISO 200 開放 1/3000 +1.0EVから。

IMGP9922-Zenitar-M


ほーっ。
Planar に通じるような、被写界深度の「浅さ」ですな。
他に何も写っていません。
解像度も十分。色味もしっかりです。
やった。。。

ISO 200 絞り5.6 1/180 -0.5EVです。

IMGP9923-Zenitar-M5.6


大夫、被写界深度が深くなりました。
向こうが見えるようになりましたね。

続いて、被写体を変えて。
ISO 200 開放 1/4000 +2.0EVです。

IMGP9950-Zenitar2.0本番


色味は、しっかり。
表現といいますか、Bokeh 具合も素晴らしいものがありますね。
Helios 以外でしたら、やはりこの1本、Zenitar ですね。

ISO 200 絞り5.6 1/500 -1.0EVです。

IMGP9951-Zenitar5.6本番


絞り5.6でも、まだ手前がBokeh てますね。
我が家の狭いお庭ではなく、Field に出て、Zeni るとイイ写真が取れそうです。
ははっ、銭る・・・って。

ISO 200 開放 1/1000 +1.0EVです。

IMGP9954-Zenitar2.0本番


結構、玉Bokeh がでますね。
こりゃぁ、夕方~夜景も期待できちゃうレンズです。
この花、桔梗です。
でも、畑に植わっているのは、「トラジ(韓国名)」として栽培してます。
収穫までに、4年ほどかかるようです。ながっ。。。

ISO 200 絞り5.6 1/60 -1.0EVです。

IMGP9955-Zenitar5.6


太陽が、恋しいようです。
日陰を好む、としてワザと日陰で栽培しているのですがね。

ISO 200 開放 1/1600 +0.7EVです。

IMGP9986-Zenitar2.0本番


ほう。。。
「凛」としてますな。
開放なんですがね。

最後に、ISO 200 絞り5.6 1/400 -1.7EVです。

IMGP9988-Zenitar5.6本番


はい。お見事。
Planar とBokeh 合戦するようですかね。
イイLENS でした。。。

DSCF0002-Zenit-M


ボディは、ロシアンレンズそのもの、ですね。
色気がないんですよねぇ。。。






第171話のKMZ Industar 22 П 3.5/50 と同じ、ゼニットマウントのインダスターですね。


DSCF4308-INDUSTAR24M

鮮烈なマゼンタ色が当時のロシアンレンズの完成度を表してますね。

ISO 400 開放 1/350 ±0.0EVです。

IMGP35-Indust24M3.5

おやっ!
マゼンタ色のIndustarなのに、後進のZenitarがZK張りなのに、Helios-44と同じように、とても良い色味じゃないですかっ!
どのような、色味系列なんですかね。
ZKと同じ色味のIndustar-22 は、同じПコーティングで製造時期も4年しか違わず、かつ、同じM39(Zenit)なのに、ねぇっ。
このレンズなら、行けるかも知れない・・・

続いて、ISO 400 絞り5.6 1/90 ±0.0EVです。

IMGP37-Indust24M5.6

解像度は、どうなんですかね。
師匠に言わせれば、鏡胴を見ただけで「オーバーホールです。」と、言われちゃいますね。私も、解っています。

次は、ビミョーです。
ISO 400 開放 1/350 ±0.0EVです。

IMGP32-Ind24M3.5

普通に、イイ色味ですね。焦点距離が長いポートレートレンズなんですが、なんでもこなせるオーランドプレーヤー、ってところでしょうか。やりますね。

続いて、ISO 400 開放 1/90 ±0.0EVです。

IMGP33-Indust24M5.6

-0.5EV程度にはすべきでした。
ちと、明るい→色味が淡い、でした。

絞り11.0なら、どうですか?
ISO 400 1/30 ±0.0EVです。

IMGP34-Indust24M11.0


まぁっ、合格ですか。

赤味を。。。
ISO 400 絞り5.6 1/750 -0.5EVです。

IMGP57-Indus24M5.6


ハマりましたね!
背景のBokeh具合といい、色乗りといい、良いポートレートレンズです!
この写りは、やはり、Helios-44 に似てますね。
ロシアには、1960年代になると、2系統の色味が存在した、ということでしょうね。
ロシア国内のフィルムも、乳剤等に選べるものがあったのか、ということも考える必要がありますね。もしや・・・白黒しかなかった時代?も考える必要がありますけど。

最後に、ISO 400 絞り11.0 1/250 -0.5EVで。

IMGP58-Indust24M11.0


DSCF4309

このレンズも、好感が持てる海外のレンズでした。
最近、Made in japan 取り上げてないな~







第174話で、「Zenitar」は凄いレンズだと思い出してしまいましたので、そういやぁ家に1本あったかな、と、いうことで、またロシアンです。
・・・Zenitar、もーれつですよっ。

DSCF4310-ZENITAR-M2

新しい設計のレンズらしく、グリーンやら鮮烈なブルーやらコーティングが全然違いますね。
このレンズ、新品で金2,850円也ですよ。。。

横から見ると、こーんな宇宙船のような、とぼけたレンズです。

DSCF4312


さて、ISO 2000 開放 1/3800 -0.7EVです。

DSCF4295-ZenitarM2-2.0

なんで、ISO 2000で撮ったワケ?
聞かないでください。家から持ち出したまんまで撮っちゃいました。まだ、撮影している本人が解っていません。
なんで、X-T1で撮ったかというと、PKマウント用のM42アダプターリングとこのレンズの絞り押しピンとの相性が悪く、完全にねじ込もうとすると、固着しちゃうんですよね。➡この現象で、1本レンズを潰しましたから。➡そういうレンズは、M42→PKリングアダプターではなく、M42→FXマウントアダプターならば、何事もなく解決してしまいます。なんで??

色味は、残念ですねぇ。。。ZK張りです。
しかし、すっごいレンズなんです。X-T1のフォーカスアシストにおいて、コンマ何ミリというピークの差を的確に表現してしまうレンズなんです。
だから、絶対にピン処を外しません。表現したいことも一切、外しません。こんなレンズ見たこと無い。もう100本以上経験してますからね。

ISO 2000 絞り5.6 1/680 -0.7EVです。

DSCF4296-ZenitarM2-5.6


まっ、ZKと変わりませんな。

次に、ビミョーなものを。。。
ISO 2000 開放 1/3200 -0.7EVです。

DSCF4293-ZenitarM2-2.0

もう、シャッターが一生懸命露出制御している感がありますね。
「白」過ぎます。
ピントが合っているだけじゃ、写真ってヤツは駄目なんですね。。。

続いて、ISO 2000 絞り5.6 1/550 -0.7EVです。

DSCF4294-ZenutarM2-5.6


この絵で初めてこのレンズの色味が判るようになりました。
まるでZKのままです。

赤味を。。。
ISO 2000 開放 1/7500 -0.7EVです。

DSCF4297-ZenitarM2-2.0


おっ、割と有りな色味ですね。ZKよりイイみたい。。。
この時、やっと気がついたんです。
「ペコッ」って、変な音がしまして、あれっ?なんで電子シャッター??
カメラの設定窓を見て・・・ありゃー部屋の中の設定のままで来ちゃったー、と判明した次第です。
だから、このまま、ラストへ行きます。

ISO 2000 絞り5.6 1/1300 -0.7EVです。

DSCF4298-ZenitarM2-5.6


赤味は、有り。ですね。

ZKは4万円程支出を強要しますが、このレンズなら3000円でお釣りが来ます。
とても、イイレンズです。







第173話でZeissのBiotarを紹介しましたが、今回のレンズは、同じ焦点距離・同じ明るさで、どーも、パクリですか?

DSCF4301-Helios44

ちょっと、奥目に見えますが、Biotarと比較してもそんなに差はないですが、第1群のレンズが小径ですかね。

ISO 400 開放 1/500 +1.0EVからです。

IMGP9-Helios2..0


はれはれ!ZKなんか、ブッ飛びの色乗りじゃないですかっ!
ロシアンレンズは、「爽やかな色乗り」とか「淡い色乗り」とか思っていましたが、このHeliosは全然違いますね。➡44Mでは淡い色乗り~44M-X(不所有)も同様かと思いますが、「当初」モノは、パクリですので、色味もパクっちゃったんですかね。

このレンズ、まだ、オドロキがあるんですよ。。。

DSCF4302-Helios44


判りますかね、絞りが「四角」なんです。
普通、円形こそ目指すべき設計であり、10何枚ものブレードを採用しているものなんですが、このレンズは「四角」。ナメてんのか、わりゃ!

ISO 400 絞り5.6 1/90 -1.0EVです。

IMGP14-Helios5.6

ありゃー。。。
全然、ナメていませんね。
すっごい描写。
色乗りすばらしく、Bokeh具合もとてもイイ感じです。風景撮影にもってこいの第1級のレンズではないでしょうか。ヘリオスの中じゃ、これしかない!って感じですね。
数値上は、透過率がなんだら~解像度がかんだら~とか言われて、MCものの-44M-7が一番です!とか結論付けられたりしてますけどね。ヒトの眼って、感性って数値とは違うモノがある、と、思うんですよね。
流石、Biotarのパクリモノです!

続いて、ISO 400 開放 1/750 +1.0EVです。
IMGP15-Helios2.0

おおっ!
Biotar よりイイじゃないですかっ!「この色味」が欲しかったんです!
すっごいレンズに出会っちゃいましたね。
ロシアンレンズでは、Zenitar-M 2.8/135 が強烈な1本でしたが、このHelios も強烈な1本です。
安いのに、これほどの写り、なかなかないですよ。Zeiss Flektogon 信者の方って非常に多いと思いますが、なんでなんで、このレンズに勝てるのかな?

ISO 400 絞り5.6 1/125 -1.0EVです。

IMGP17-Helios5.6

GREAT!素晴らしい!

赤味を。。。
ISO 400 開放 1/125 ±0.0EVです。

IMGP45-Helios44-2.8

赤味もいいじゃないですか。
少し、淡いですかね。
まーっ、ZeissのMCのように、乗りすぎよか良いと思います。

ISO 400 絞り5.6 1/350 -1.0EVです。

IMGP50-Helios5.6


このレンズ、最高ですね。Heliosに対する認識がブッ飛びました。
ロシア得意のパクパクですが、とてもそんなものじゃなく、Zeiss Biotar を「超えた」凄いレンズでした。降参!!


DSCF4304


このレンズは、ウクライナから来たんですけど、やっちゃいましたか、モロ、クローム調になっちゃってます。あはは。。。

➡ このレンズの誕生がどこまで判るか。データとしてだけ紹介します。
  このレンズ、M39なので、Helios誕生初期のものかと思いますが、いろいろ情報が錯綜してまして、先ず、レンズ銘板から情報を汲み取っていきましょうか。

DSCF6026

【情報1】 レンズ銘板から、製造は、KMZ。
      シリアルナンバーは、No.0234758 ですね。

DSCF6027

【情報2】 少々、回して。
      HELIOS-44 という製品名が判明します。
      輸出用ですね。キリル文字じゃない。

DSCF6028

【情報3】レンズの規格が、2/58だと判りました。

これがレンズ銘板から、判明した情報です。
次に、鏡筒からの情報を。

DSCF6029


【情報4】 レンズ銘板からも判るのですが、開放値は、2.0。
      PCじゃないと無理かもしれませんが、左側被写界深度ゲージの下に最短距離0.5M。

DSCF6030


【情報5】 最小絞りは、f=16 です。

DSCF6031
 
【情報6】 これが気が付きませんでした。
    (1)  44Mのように、自動絞り構造(押しピン)がない。
       (2) よく見りゃ、M39にM42用の口径調整アダプターが噛んでるじゃん。 

以上のことから、
☆ レンズ銘板から、製造は、KMZ。HELIOS-44 2/58。
☆ シリアルナンバーは、No.0234758 。
☆ レンズのインジケーターから、最短距離0.5M。最小絞りは、f=16 。
☆ レンズの構造から、
   (1) Helios-44Mのように、自動絞り構造(押しピン)がない。
      (2) M39のマウントにM42用の口径調整アダプターが噛んでる。 が、判明しました。だから、このレンズ・鏡筒は、Helios44-2でなく、-44Mでもなく、後の時代のレンズをバラして磨いちゃった、ではない。

Helios 44 のM39(Zenit)バージョンは、1958年から1960年初頭が対象となり、以後、1960年中期からは、Helios 44-2 へとモデルチェンジしてますので、ホンの数年間に限られたモデルかと思います。
更に、今回のモデルは、「円形絞り」ではなく、「四角絞り」ですので、ホンの一握りのモデルかと思います。
➡ 製造年がハッキリ、判るといいですね。スッキリします。







今回は、KMZ Industar-22 ですね。
製造番号は、5603615ですので、1956年製造です。
私が所有しているレンズでも、古いものの1本ですね。

DSCF4283

このレンズも、ZKと写りは、瓜二つです。

先ずは、ZK。
ISO 400 絞り開放 1/840 ±0.0EV です。

DSCF4200-ZK1.5

比較対象のIndustar-22。
ISO 400 絞り開放 1/110 ±0.0EV です。

DSCF4224-22-3.5

おっ、開放でも、メリハリがありますな。
ZKが、ポワっとしているのかな。

続いて、絞り5.6です。
ZK ISO 400 1/52 ±0.0EV です。

DSCF4201-ZK5.6

Industar-22 ISO 400 1/52 ±0.0EV です。

DSCF4225-22-5.6

なかなか、しっかりとした絵造りですね。Industar-22。好感が持てます。
続いて、「青味」でーす。

ZK  ISO 400 絞り5.6 1/70 ±0.0EV です。

DSCF4244-ZK5.6


Industar-22   ISO 400 絞り5.6 1/70 ±0.0EV です。

DSCF4238-22-5.6

いやー、ホント!そっくり。
いやいや、更に輪を掛けてロシア丸出しモードじゃないですかね。。。
力強く、ロシアしてます、Industar-22。

赤味を。
ZK ISO 400 絞り開放 1/1250 ±0.0EV です。

DSCF4245-ZK1.5


続いて、Industar-22 ISO 400 開放 1/200 ±0.0EV です。

DSCF4253-22-3.5

なんか、開放時の明るさが、FED Industar 26Mと同じなんで、同じような映り込みですね。
絞り5.6なら、どうなんですか。

ZK ISO 400 1/120 ±0.0EV です。

DSCF4246-ZK5.6

続いて、Industar-22 ISO 400 1/85 ±0.0EV です。

DSCF4254-22-5.6

ZKよりも、若干、「青味」に対して、反応してますかね。
このことは、ZKよりイイレンズであることを示しています。しかし、微妙だ、感覚の範囲でしか無い。。。

おまけの1枚を。
ZK ISO 400 絞り5.6 1/550 -0.7EV です。

DSCF4267-ZK本番

Industar-22 ISO 400 絞り5.6 1/850 -0.7EV です。

DSCF4271-22

やはり、輪郭部の表現などは、Industar-22の勝ちですね。色乗りもイイです。

最後に、あの一枚を。
ZK ISO 400 絞り5.6 1/180 +0.7EV です。

DSCF4273-ZK

続いて、Industar-22 ISO 400 絞り5.6 1/220 +0.7EV です。

DSCF4277-22


同じです。
もう、アップするの止めたいです。それくらい差がなくて、嫌になります。

さて、ここで、このレンズ、KMZ Industar-22は、「Zenit」マウントであることから、口径はM39で、ライカマウント(L39)と同じなんですが、フランジバックが異なっています。

 L39 は、
 ⌀39mm x ピッチ約1mm、フランジバック:28.8±0.02mm
 M39 (Zenit)は、
 ⌀39mm x ピッチ約1mm、フランジバック:45.2±0.02mm
  M42 (プラクチカ・タクマー等)は、
 ⌀42mm x ピッチ1mm、 フランジバック:45.46±0.02mm  となっていて、

このIndustar-22 は、M39→M42アダプターを装着し、撮影しました。
➡近くならば、レンズのヘリコイドで吸収してしまいますが、「無限遠」がね。
 45.46-45.20=0.26mm、≠約0.3mmアンダーインフなんです。
 ➡オーバーインフならば、無限遠は出るんですけど、アンダーインフでは合焦しきれていない状況にあります。

では、どんな風に写るんでしょうか。
Industar-22 ISO 400 絞り開放 1/1250 ±0.0EV です。

DSCF4262-22

撮影時には、全面にピークが出てました。ブロック塀の先、花が咲いていますが、「いまいち」合焦していない状況にあります。推定20メートルをちょっと超える距離です。誤差2-3メートル。

Industar-22 ISO 400 絞り開放 1/250 ±0.0EV です。

DSCF4263-22

赤い機械の左、画面真ん中に花がありますが、これにも合焦していません。その先にピンが行っています。推定10メートル先。

Industar-22 ISO 400 絞り開放 1/90 ±0.0EV です。

DSCF4264-22


竹林の一部や、手前の木がモッコリしている部分等にピンが寄っていそうな雰囲気です。
推定20メートルオーバー。
この状況から、Industar-22は、20メートルの先から無限遠ですので、無限遠の手前で焦点が止まってしまっているかの状況ですね。
あと、機械的に0.3mmカメラの受光部に寄ればイイだけですのにね。
まぁ、合焦させるように合わせもしないで、単に無限遠まで回して、撮影しただけですけどね。


M42のフランジバック長とカメラの間に入るアダプター長の関係を。。。

M42フランジバック長   X-T1フランジバック長  アダプター長
    45.46mm   -    17.70mm   =  27.76mm

では、実際の状況は?
いつも、利用している標準的なアダプターです。
K&F KONCEPT製ですね。

DSCF4285


DSCF4286


27.4mmですので、0.36mmオーバーインフ状態です。
だから、このまま使用しても、実は、Industar-22は合焦しているはずですね。

どこのメーカーか、忘れました。
中にM42ならではの絞りピン押しのための構造がなく、このアダプターも必携ですね。


DSCF4287


DSCF4288


このアダプターは、27.5mmですので、0.26mmオーバーインフにできています。
このアダプターに装着しても、Industar-22はほぼ合焦しているはずですね。ていうか、計算上は、プラスマイナスゼロのビンゴ! アダプターです。

DSCF4289


Pixcoのヘリコイド付きアダプターです。
このサイズから、ビヨーンと伸びていきます。

DSCF4290


このアダプターも、お利口さんにできてますね。

DSCF4292


一番安そうで、セコくできていそうなこのアダプターをよーく見ると。。。
ねじがあって、真ん中のリングが「盛り上がってます」な。
黒ボディのみの高さで計測すると。。。

DSCF4291

0.60mmも、あるじゃないですかぁぁぁ。
この天板(M42 メス側)を削れば、Industar-22も無限遠が出るはずけど、そもそも、これらのアダプターで無限遠が出ないのは、「レンズ側の整備不良」だと、計算上は言えます。
通常は、45.46mmのレンズを装着して、丁度よい状態となるはずの前提ですから、45.20mmのレンズでは自ずと距離が合わないハズ、ですがね。計算上は、クリアしています。

素人・ビギナーでも、ナニも考えずに利用でき、「ねじって入れる」レンズですので、それなりの誤差があって然るべきとも思います。








第168話に続く、ZKのための比較するお話です。
1話では、写真が多すぎて、判りませんからね。

DSCF4137

'54以降のモデルでは、Zeiss硝材が枯渇したため、鮮烈なマゼンタ色のコーティングが付されています。1つのチェックポイントになりますね。

撮影した結果、Jupiter 8と、ZK の差は、ありません。
明るさの差はありますが、こと「色味」に関しては、ほぼ、同一と言えます。
つまり、1949年製だろうが、1956年製だろうが、「全く」変わらない。更に言えば、後年製の方が技術が新しいので、よく写る、で、イイと思います。

え"ぇっ、がつかりー。まじか。。。

しょうがない。
自分の国の製品、と、考えれば、自分の製品は、日毎に良くなるハズ。。。
経過からして、1951年製の方が、1954年製よりよいハズだ、と、思うのは、私達が今、「西側」に属しているからです。
残念ながら、Zeissから接収したガラス硝材は、ロシアの手によって、ロシア風味のレンズになっていた。また、当時のロシアン技術から、ロクなコーティングも付すことができず、当時のZeiss・CONTAX Sonnarまで昇華できなかった、で、合っていると思います。
ドイツから強制連行した技術者たちも、当時のSonnarとは、別のものにしたかった、とも思いますね。➡ 「この方が、きれいに写りませんか?」とか、言って。。。

Bokeh具合を。
先ず、ZK ISO 400 絞り開放 1/840 ±0.0EV です。

DSCF4200-ZK1.5


続いて、Jupiter8  '51。 ISO 400 絞り開放 1/300 ±0.0EV です。

DSCF4206-51-2.0


'51 は、ほぼZK張りのBokehになりますかね。。。
続いて、Jupiter8 '54  ISO 400 絞り開放 1/240 ±0.0EV です。

DSCF4214-54-2.0


'54 の方が、スッキリ系のBokeh風味ですか。
しかし、良くぞ、こんなにガラス硝材が異なるのに、同じ色味に調整できましたね。
てか、この色味をロシアの技術者達は、目指していたんでしょうね。
ロシアは、雪の照り返しの強い国だから、人の目もそのような色味になっているのでしょう。

続いて、絞り5.6です。
ZK  ISO 400 1/52 ±0.0EV です。

DSCF4201-ZK5.6


Jupiter8 '51   ISO 400 1/40 ±0.0EV です。

DSCF4207-51-5.6

更に、Jupiter8 '54   ISO 400 1/27 ±0.0EV です。

DSCF4215-54-5.6

色味には、全く差がないと思います。
強いて挙げれば、Zeiss硝材が少ないほど、青味が足りない、とはカンジますけど。
'51と'54の最大の差は、「明るさ」であると思います。
'51が1/300のところ'54は1/240。'51が1/40のところ'54は1/27でシャッターが切れます。
Zeissガラス硝材の優秀さが見て取れます。

TAKUMARとの最大の差、「青味」も3台とも、同じです。
先ず、ZK ISO 400 絞り5.6 1/70 ±0.0EV です。

DSCF4244-ZK5.6

次に、Jupiter8 '51。 ISO 400 絞り5.6 1/56 ±0.0EV です。

DSCF4243-51-5.6

次に、Jupiter8 '54。 ISO 400 絞り5.6 1/52 ±0.0EV です。

DSCF4242-54-5.6

この絵達ばかりを見ていると、ホント、こんな色の紫陽花なんだ、と、思いますよね。
TAKUMARの秀逸な写りさえ見なければ。。。

赤味も、同様です。全部絞り5.6です。
先ず、ZK。ISO 400 1/120 ±0.0EV です。

DSCF4246-ZK5.6

続いて、Jupiter8 '51。ISO 400 1/80 ±0.0EV です。

DSCF4248-51-5.6


更に、Jupiter8 '54。ISO 400 1/75 ±0.0EV です。

DSCF4250-54-5.6

どうですか?
寸分違わず、同色でしょう。シャッタースピードは、Zeiss硝材が多く使用されている程速いですが。
今回の撮影で、一番自然だったものを。
ZK ISO 400 1/180 +0.7EV です。

DSCF4273-ZK

続いて、Jupiter8 '51 です。ISO 400 1/140 +0.7EV です。

DSCF4274-51


更に、Jupiter8 '54です。ISO 400 1/140 +0.7EV です。

DSCF4275-54


次回は、今回の撮影に同行した、FED Industar 26M L39、KMZ Industar-22(M39 Zenitマウント)、LOMO Bolna 1.8/50 MC M42 などを紹介しますが、ナント! 皆、同じ色調です。

戦後、Zeissのガラス硝材を接収し、又は、Zeiss Sonnar 2.0/50の部品一切合財を接収して完成品として組み立てて「Zorki ZK 2.0/50」と看板替えしてきたロシアのレンズ。
そのレンズは、Zeissガラス硝材が枯渇する頃には、ほぼ完成域に達していた、と、言えるかと思います。・・・年代がかなり違っても、同じ色味じゃねぇ。。。






お待ちかね!
いよいよ、ZKの本番撮影です。カメラは、X-T1。フランジバックの関係から、ミラーレスじゃないとね。
画像比較は、Jupiter8の51や54もしますけど、やはり、PENTAX67 Super-Multi-Coated TAKUMAR 3.5/55とじゃないとね。正確さに欠けますね。

DSCF4131


KMZ Zorki ZK П 1.5/50。レンズの色が独特です。
比較対象は、これ。

DSCF4280


Made in japan が誇る、このバカでかいレンズが飲み込む情報量に勝てますかね?
ちょっと、無理だよねぇ。。。最初から不公平だわさ。

先ずは、基調撮影で、PENTA67から。カメラは、PENTAX K20D。
ISO 400 絞り5.6 1/1500 ±0.0EV です。

IMGP9716-PEN67


プログ表紙もPENTA67ですけど、本当に「綺麗で的確な」色表現ですね。流石です。
さて、お待ちかね。ZKです。
ISO 400 絞り開放 1/840 ±0.0EV です。

DSCF4200-ZK1.5


あちゃ。ロシアンレンズらしく、「色味薄い」なぁ。。。
ZKは、ロシアで設計したことが、ハッキリ判りますね。
続いて、ISO 400 絞り5.6 1/52 ±0.0EV です。

DSCF4201-ZK5.6

Bokehの量が減少、解像度がUPしましたが、色味の薄さは変わりませんね。
シアン系は、薄い表現です。緑色はイイですが。

続いて、別の花を。
画材は、「つぼみ」。色の濃淡が複雑で、色味が的確かどうか。。。
先に、PENTA67。
ISO 400 絞り5.6 1/1000 ±0.0EV です。

IMGP9718-PEN67

おおっ。「青い」んだか、「白い」んだか、はたまた「黄色」いんだか、ホント!微妙です!
ZK  ISO 400 絞り開放 1/400 ±0.0EV です。

DSCF4202-ZK1.5

続いて、ISO 400 絞り5.6 1/28 ±0.0EV です。

DSCF4203-ZK5.6

シアン系の色味は薄いですが、全体として、白いんだか、黄色いんだか、は、よく写し込んでいると思います。ちょこっと、黄色味が出ていると合格点で、この絵なら、合格ですね。素晴らしい!

今度は、青味一色。緑一色なら役満ですか?
PENTA67  ISO 400 絞り5.6 1/1500 ±0.0EV です。

IMGP9720-PEN67


すっごい「青味」。ライトブルーな中心部との差が出るのかな。。。
ZK ISO 400 絞り開放 1/750 ±0.0EV です。

DSCF4204-ZK1.5

もちもち?
あのー、色味がぜぇんぜぇん違いますが、あのーZKさんですよね?

続いて、ZK ISO 400 絞り5.6 1/60 ±0.0EV です。

DSCF4205-ZK5.6


なるほど。
ZKがこの色味ならば、そ~言えば、こんな色だった・・・ワケねーだろ!!  バカッ!
X-T1の色味が・・・それも、ねーよっ!! バカッ!

ZK 青味全体の写し込みを。。。
ZK ISO 400 絞り5.6 1/70 ±0.0EV です。

DSCF4244-ZK5.6


がつ・・かり。

赤味はどうでしょ?
PENTA67 ISO 400 絞り5.6 1/1500 ±0.0EV です。

IMGP9726-PEN67


左側手前、赤い花なのに、縁とか青味掛かっています。ZKくん、どーなるのかな。。。
ZK ISO 400 絞り開放 1/1250 ±0.0EV です。

DSCF4245-ZK1.5


続いて、ZK ISO 400 絞り5.6 1/120 ±0.0EV です。

DSCF4246-ZK5.6

全くもって、TAKUMARの足元にも及びませんが、「写真」としての「絵」で、ずーと、この1枚を見ている分には、Bokehの量やらイイ絵が撮れるとは思いますね。
ずーと、見ていると左側手前の花にも「青味」をカンジますので。

もう一枚。
PENTA67 ISO 400 絞り5.6 1/1000 ±0.0EV です。

IMGP9728-PEN67

花びら全体に「ピンク掛かっている」色味に注目。
ZK ISO 400 絞り5.6 1/240 ±0.0EV です。

DSCF4257-ZK


X-T1の設定か、PENTAX K20D機が良いのか、X-T1の露出調整をした私が悪いのか、とにかく、画像全体の明るさの差からくる色味の比較ができませんが、もう少し、X-T1の露光を落とせば、同様の色味になった気がします。
それは、これまで全体の露光に影響していたものと思います。

おまけで。
ZK ISO 400 絞り5.6 1/550 -0.7EV です。

DSCF4267-ZK本番

ねっ、イイ絵が撮れていると思うでしょ。
撮影方向は違いますが、同様の色味をPENTA67で。
ISO 400 絞り5.6 1/2000 ±0.0EV です。

IMGP9724-PEN67

PENTA67のフォーカス部分の花色が、ZKでは、やはり薄いですね。

最後に、気合の一枚を。
ZK ISO 400 絞り5.6 1/180 +0.7EV です。

DSCF4273-ZK

この絵は、普通に、自然な風合いです。
フォーカス部の花の色も極自然です。
ZKは、あじさいのこと、嫌いだったんですね、多分。











今回は、Jupiter8の詳解ですね。
Sovietcams.comというサイトで、より詳しく紹介されていますが、その要点抜粋などを含めてお知らせします。

DSCF4133

No.5103352ですので、1951年製です。
このレンズならば、Zeissから接収したガラス硝材を使用した、ってのは納得ですね。
ZKと同様のコーティングですから。。。

DSCF4134

Jupiter3は、CONTAX Sonnar の1.5モノをパクって、Jupiter8 は、2.0モノをパクってますね。
Jupiter8のプロトタイプは、PT2905といい、GOIにより設計されたそうです。それは、Zeissの光学特性とは違ったものだそうで、「パクリ」ではないものだそうです。
へぇぇーーー

最初のJupiter8( ZK 2.0/50 PT3005)は、1948年にZeiss Jena Sonnar 2.0/50をロシアにて組み立てられたものだそうで、なんのこっちゃない、モロそのまんま。名前だけすげ替えたもので、ZK 2/5cmといいました。沈胴式です。

次に、PT3010が「Zorki ZK 2.0/50」の名を持ち、沈胴式のモノが1949年から1950年に製造されたそうです。
呼称の変遷は、Jupiter3と同じですね。

次に、PT3015というモデルが限定的に製造されたそうな。

一方、PT3010と同時にPT3020(Zorki ZK 2.0/50)というモデルが、1949年から1950年にかけて製造された。このモデルは沈胴式ではない普通のモデルです。1.5モノと同様に絞りリングに耳が付いています。
この製造過程は、1.5モノと同じようなコースを辿っていますね。
Sovietcams.comでは、このレンズの特徴として、「Zeissのレンズ硝材が部分的に」使用されていると記述しています。
え"ぇっ、「部分的」?
そうなんだ、「全面的」じゃあないんだ。がっかり!!
しかし、Sovietcams.comのPT3005、3010、3015、3020までの写真をよーく見ると、レンズ銘板に製造メーカーのマークがないことから、「Zorki ZK 1.5/50」と同様に、Zeissのガラス硝材を「部分的」に使用していたのではなく、「全面的」に使用していたのではないのか?と、思います。

次に、PT3030(Jupiter8)として、1951年から1960年までKMZにて製造されたそうです。
1960年!!
あれっ、1956年には製造元が変わったのではなかったか?
・・・それは、Jupiter3の方でした。
Jupiter3は、KMZからZOMZへ変わっていますが、Jupiter8はKMZのままでした。

KMZは、1951年から1990年代まで、Zorki用マウントのものを製造していました。
また、KMZは、1950年から1956年まで、Kievマウント用(CONTAX RF)のレンズを製造。
ただし、Arsenalが1954からKievマウント用モデルの生産をKMZから引き継いだようです。
つまり、Jupiter8は、1949年から1950年までの期間が第1段階。(Zorki ZK 2.0/50)
1951年から1953年までが第2段階。(Jupiter8)
一つのターニングポイントが1954年。
次のターニングポイントが1956年、その次が1960年となるようですね。

そうでしたか。そのことは1960年のIndustarにも当てはまりませんかね。
Jupiter8の次のモデルは、PT3050で、1958年からGOMZの製造され、例の「ブリュッセルグランプリ」カメラに搭載となります。モノがないようです。
次のPT3060、モデル番号と製造開始年が前後しますが、1957年からのものは、Jupiter8の正規版と呼ばれ、1960年までKMZで製造されたそうです。フォーカスレバーがなくなっています。

つまり、Jupiter8は、KMZにて次の期間とモデル差があると思いますね。
1951年~1953年 初期型  PT3030 (PT3030自体は1958年頃まで製造を確認)
                  Zeissのガラス硝材は、一部分に使用か。
1954年~1956年 変更型  PT3030 コーティング変更
                  ・・・Zeissガラス硝材は枯渇・不使用か。
1957年~1960年 晩期型  PT3060 テクスチャリング型


左側1951年型。右側1954年型。両方とも、PT3030型であることに相違なし。

DSCF4135


DSCF4136


コーティングは、全く違いますね。
左側51年モデルは、ZKと瓜二つですが、54年モデルはマゼンタ色が鮮烈です。
因みに、レンズ自体の色は、「この段階では」全く変わりがありません。
もう一丁。

DSCF4137

角度を変えて。
DSCF4138

54年モデルは、ZKに対して全く別物かと。

DSCF4143

絞ってみました。

DSCF4144

肉眼でわかるのは、絞った場合、51年モデルの方がレンズに緑味があり、ZKに近いです。
51年モデルは中央に「黄色」が。54年モデルは中央に「マゼンタ」が出現しています。

DSCF4145

なんとなく、判りますかね?
51年モデルの方がどんよりとしていて、54年モデルの方がスッキリとしたレンズの色味です。

DSCF4146

コーティングの差が判りますね。

DSCF4147

ナント!
開放時のレンズの色味は本当に「瓜二つ」です。・・・絞ると違いますけど。
第1群か第2群のレンズ色には、差がありますね。開放時、肉眼では全く同じに見えます。

DSCF4150

コーティングの差は明確です。
本当に、1953年にZeissのガラス硝材は枯渇したんですかね。
枯渇って、全く無くなった、尽き果てたって意味ですけどね。
私には、今回の撮影で、並べてみると、まだまだ一部というか、大部分はZeissのガラス硝材のような気がしてならないんですけどね。
PT3020の時点で、Zeissのガラス硝材を「一部使用」ってんだから、54年モデルの劇的な変更をちゃんと認めなさいってば!!

➡Sovietcams.comによると、Jupiter9の最初期版は、「完全に」Zeissのガラス硝材を使用ですって。
あんれま!!
じゃあ、1948年とか1949年、遅くても1950年モノのJupiterじゃないと、Zeiss風味の光学特性は期待できないってことじゃん!!

じゃん、ジャン。
おしまい。。。







第150話で紹介しました、KMZ Zorki ZK П 1.5/50(Jupiter-3)NO.491938 L39 をより詳しく紹介します。

DSCF4127

左上、ЗОРКИйで、Zorkiですね。
右上、ЗКで、ZKです。

DSCF4128

DSCF4129

製造No.491938 で、1949年製造が判りますね。
絞りリングに、ハンドルといいますか「耳」といいますか、突起があるものが古い形。
つまり、CONTAX SONNARの鏡筒をそのままパクったデザインです。
Jupitar-3銘になると、この「耳」は消滅します。
Sovietcams.comというサイトで、より詳しく紹介されていますが、その要点抜粋などを含めてお知らせします。

ZKのプロトタイプは、PT1605といい、1947年GOIで設計されました。
製品版は、PT1610といい、1948年リリースだそうです。製品名は、「ZK 1.5/50」プロトタイプとは光学系の変更とボディ仕上げは大きく異なるものだそうです。

次に、PT1615では、1949年「Zorki ZK 1.5/50」として、「Zorki」名が入りました。1949年の1年限りバージョンで、玉数がないそうです。違いは、絞りリングにギザギザがあるパターンへと変更。
若い製造番号で知られているのは、#491123。

次に、PT1620が1949年から1950年にかけて製造されました。製品名は、同じく「Zorki ZK 1.5/50」。
絞りリングには、PT1610と同様(CONTAX Sonnarとも同様)の大きな耳が復活。多分、PT1615と平行生産のような気がします。無理に元に戻す理由はないから。
Sovietcams.comサイト上の若い製造Noは、#492258。
私が所有する#491938は、1949年もので、絞りリングに耳があるタイプなので、PT1620であることが確定。更に、Sovietcams.comサイトものより古いことも判明。
多分、世界中探しても一番古い「PT1620」ではないでしょうか。やったね!

DSCF4130

「10」「20」のマークについては、Sovietcams.comサイトのもののPT1620より古い気がします。
多分#2000番代から大文字(刻印のポイント数が上がった?)が採用されたのでしょう。「10」「20」と見えますね。
私のものは、小文字に見えますので。

DSCF4131


DSCF4132





第155話での KMZ Jupiter8 П 2.0/50 NO.5418000  が、どーも、違う。
コーティンクのマゼンタ色が今日的でした。
・・・もしかして、俺がハマった??

やばい、UCHIDA監督・・・ロシアにも・・・

って、ことで、今度は、1951年モノで再トライです!    ・・・フェアプレーで勝つ!


DSCF4096

おおっ、ZKと「全く同じ」コーティングの色味です!
淡い「ブルー」「マゼンタ」「イエロー」・・・寸分の差がありません!!

次々と、行っちゃいましょう!

DSCF4094


ちょっと、ガラス自体の「緑味」が足らないかと。
Zeissのモノコーティングにも似ているかのような「黒味」にも見えますね。

DSCF4095

レンズ縁に「ブルー」。「マゼンタ」「イエロー」がZKと同じ色味で出現しています。

DSCF4097

「ブルー」が、一番上に、以下、マゼンタ、イエロー。お約束どおりです。
レンズ自体の「緑味」は、出てきましたね。


DSCF4098

絞った色味です。
やはり、「緑味」が足りない。しかし、透明度はかなり高いです。54も同じ感じです。

細かいことですが、このレンズ、第2群ですかね。「レンズのコバ塗り」ができていないと思います。
レンズの端が白く見えますね。
コバ塗りってどうやるか、ご存知ですか?
ナント! 日本の墨を何回も塗りますね。キンカンみたいに、また塗ってぇ・・・ってカンジです。
日本の墨には、2種類ありまして、用途、目的に応じて製造されています。
日本の書家の方も、必要に応じて書く時に混合されてます。
更に、光源は光って、我が物顔でと通過していきます。墨以外ですと、まー塗った甲斐がないことないこと。

DSCF4100

おし。
レンズの色味が出ました。
あまり緑に見えませんが、ZK張りです。
ブルーも、出ました。・・・あと、淡いマゼンタ、ちょこっとイエロー。バッチリです!

DSCF4101

ダメ押しで、もう一回。
このレンズも、状態が良くて、撮影が楽しみですね。
ZK、51、54とどんな絵が撮れることでしょう・・・お楽しみに。
案外、54だったりして。
でも、多分、「いやー、やはりZKですね。この階調豊かな写りが最高です。」とか言っちゃって。
それ、やせガマンってもんだよね。

DSCF4102

おー、深い「緑のような、青のような・・・」。レンズ色が撮影できました。
ZKよりも、洗練されたガラスのように思えます。
ZKは、本当に質の低い工程でレンズが製造されたように思います。

DSCF4103

【結論】
1947年、ドイツから戦後賠償として接収されたZeissのレンズ硝材は、1948年、ロシア国内においてCONTAX Sonnar を模倣しながら、「Zorki ZK」として製造された。

1950年半ば、ロシアは、「Zorki ZK」から1段製造技術を上げて、「Jupiterシリーズ」とした。
この際、レンズの生成技術が上がったが、コーティングはまだZKと同様であった。

1953年中に接収したガラス硝材は、枯渇した。
これを見越して、ロシアでは、新たなレンズ設計に入った。

1954年、新たに設計したレンズには、マゼンタ色へと大幅に振ったコーティングが付されたものが製造され、以後、ロシアンレンズの礎となった。

・・・このブログを御覧なった皆様、衷心よりご案内いたします。
ZKと同様なレンズをお探しでしたら、1953年「以前」のモノが良いですよ。
もしかしたら、ですが、私は1954年と記載されているものを購入しましたが、レンズのコーティングからして、「全くの別物」を掴まされることになることもあると思います。
まぁ、レンズの状態がイイもので、54年モノ(ある意味冒険)を探した私がバカかも知れませんが。

もし、54年以降モノで、「強いマゼンタ色」を発しないモノがあったとしたら、更にしっかりとした「イエロー色」が出現していたら、それは「Jupiter初期」モノで貴重ですね。
決め手は、このブログのような「映り込み」です。全体にキレイにコーティングがでたら、それは、ZKじゃあないです。
あ"ーっ、ハマったかぁ・・・54・・・






今回は、第150話に続き、Zorki ZK の後継モデルJupiter 8です。
Jupiter 8は、CONTAX(レンジファインダーモデル 1932年リリース)に先立ち、1928年に完成したf=2.0のモデルで、3群6枚のSonnarをパックちゃったZorki ZK 2.0/50を1960年にジュピター8って命名したんですね。

ネットであちこち見ていると、「ZK」と大夫レンズの色とかコーティングとか、おやっ?っていうモデルがありますので、今回、Jupiter 8 を取り上げてみました。

いやーっ、ひどいですね。ロシアのバイヤー。
ebayにも沢山出品があります。
目を皿のようにして見ないと、騙されちゃうものがたくさんあります。
どんなのがあるかというと、
 ① 製造番号が怪しいものがある。➡「ZK」ものは、高く売れるのを知っているので、凡そ、1956年までの頭「56」っぽく見せているのがある。
 ② Пを後から「手書き」で追加したのがある。➡ホントかよ!と、一瞬目を疑いましたが、間違いなく銘板に掘る・赤く塗色するではなく、書いてありました。
 ③ Jupiter 8 ならば、KMZ製で、頭「50」~「56」がストライクゾーンなのですが、「55」「56」辺りになると、本当かな?と、思えるレンズ色のものがある。➡グレートコンディションとかいって、後年のレンズに銘板だけを載せ替えたレンズがありそう。
 ➡ レンズを2個使っても、もともとが安いレンズですので、「ZK」で売れれば、大儲けって訳です。

って、カンジです。はい。

では、私のJupiter 8 を。
製造番号の頭2桁が、「54」ですので、1954年の製造モノですね。
多分、1953年にロシア国内では、ドイツから接収したレンズ硝材は、枯渇した。しかし、作り切って全くなくなってしまったのではなく、作る予定の分まで残量を見通せる段階に来ていて、「これ以上先は無いな」という認識に立てる在庫量となった、つまり、1954年も作っていた・・・ということだと思います。

DSCF4054

どうですか?
第150話のZKとレンズの色味が似てますよねぇ。
向かって、左下が「レンズ自体の色味」です。若干、爽やかな色味に感じられます。
一番上にシアン系、次がマゼンタ系。後ろに黄色(?オレンジに見えますが)は、共通です。

絞って見ました。
師が、こんな絵を撮っていたもんですから。。。

DSCF4055


手前、シアン系は、間違いのないところでしょう。
絞って、前2群だけにすると、ZKより、随分と透明度が高いレンズのように見えます。
レンズ奥を見てみましょう。

DSCF4057

ZKと同じレンズ色が左下に出現していますが、Jupiter 8 には、左上手にオレンジとその後ろに「赤」っぽい反射が出現しています。ZKでは、「黄色」でしたが。

DSCF4058


左下にレンズ色、次のオレンジ(黄色っぽい)は、ZK譲りだとして、右側一体に豪華に鮮烈なマゼンタ系が出現しています。

DSCF4059


光の向きでは、このJupiter 8 は、マゼンタ色一色!と、言っていいほど赤くなります。
これは、完全にZKを単に呼称変更したのではなく、設計変更したものと言えます。


DSCF4060


師のマネをして、レンズカーブに沿ったコーティング色を撮ってみました。
光源がスタジオライトではなく、勉強机用の卓上灯ですので、こんなもんです。スミマセン。

DSCF4061


部屋の蛍光灯を写し込むと、こんな色味が出現します。
ZKと同じ色味がレンズ底部に出現してます。Uの字の色味もレンズ色の反射かと思います。

DSCF4062


この絵の方が、レンズ自体の色味が良く出てますね。
第150話でも紹介していますが、比較として、今回はZKの絞ったレンズ色を。。。


DSCF4064


絞り羽根が黒いので、イマイチ「レンズの緑色」が判りにくいかと思いますが、コーティング色を含め色味チェックができますね。
全体に、「淡いコーティング色」です。シアンはしっかり。これが印象ですね。

ZKの絞った背面を。

DSCF4065


最近のロシアレンズなら、それはもう、「夜の銀座」状態で、賑やかに色味が出現しますが、ZKは、モノトーンです。

第150話では、更なる比較として、Industar-22を取り上げましたが、今回は、Jupiter 8 に新たな設計が盛り込まれている、と、いった状況なので、後年のモデルで行きたいと思います。

KMZ Industar-50  П 3.5/50 M39です。
1960年のモデルですね。家にはこれくらいしか古いロシアレンズがなかった、とも言えますがっ。

DSCF4068


おおっ、この色味と順番は、正にZK譲りじゃないですかっ!
て、いうことは、このコーティング状態・色味が「П」コーティングなんじゃないでしょうかね。
実は、レンズ色を撮りたかったのですが、レンズの構造が邪魔をしてうまく撮影ができませんでした。
第150話のIndustar-22とこのIndustar-50のレンズの色味は、ナント!同色なんです。
へーっ、て、ことは、1956年だろうが1960年だろうが、Industarが同じレンズ色ということは、この色味自体がロシアが開発した「レンズ硝材の色味」ということになりますね。

ということは、勿論、ZKをタタキ台にしているのでしょうけど、コーティング然りで研究・開発したということでしょうな。
つまり、後年のレンズ群もよく写りますよってか。。。Zeissのパクリのくせに、でかい顔すんな!!

DSCF4067


オレンジ色の反射は、正にJupiter 8 と同じですな。ZKより、更に鮮烈になった、と言えます。
 
DSCF4066


ZKとの最大の差は、鮮烈なマゼンタ色に改良したことと黄色がマゼンタ色に喰われた、そんなところでしょうか。
逆に言うと、ZKの緑色のガラス体が持つ特性を得ることができなくなったので、それをマゼンタコーティングでカバーした、または、マゼンタ色の方へと色転換した、ってカンジですかね。。。

「緑」と言えば、「緑のROKKOR」を思い出しますな。
Zeissのガラスはそれ自体が「緑」。
ミノルタのROKKORは、「アクロマチックコーティング」。
ミノルタがROKKORを開発する時に、やはり、Zeissは頭の中にあったでしょうね。
レンズに「緑」を入れないといけない・・・世界に勝てないと。。。

ROKKORは、他のレンズとは一線を画す、緻密かつハイコントラストな超一級のレンズですね。
あれっ、なんで、KMZ Jupiterをやっていて、ROKKORで締めるんだ?    ・・・「緑」繋がりですがな!





お陰様で、第150話までやって来ました。
今回は、撮影したものからレンズの感想を述べるのではなく、レンズの状態のみをお知らせしたいと思います。

今回のレンズは、「Zorki ZK」のf=1.5です。3群7枚ですね。f=2.0もありますね。3群6枚です。
f=2.0のモノは、後に「Jupiter-8」として製造されました。

この「ZK」ものは、第二次世界大戦の結果をある意味、象徴しています。
戦後の賠償としてロシアに接収されてしまった、ドイツ・カールツァイスのレンズ硝材を使用して製品化されたものです。
第二次世界大戦当時、ロシアは、ドイツのCONTAX(レンジファインダーカメラ)の性能を高く買っており、自国でも同等の工業品の生産を目指しました。
なんたって、戦前なのにCONTAXは、1/1000のシャッタースピートを実現していました。昭和34年のPENTAX-S2でさえ、1/500秒ですからね。ブッ飛びの高性能ですね。
f=1.5のSonnarも1932年のCONTAX発売に合わせて開発されました。1929年に開発した3群6枚の高性能レンズ、Sonnarを更にイジってレンズを1枚追加し、更なる明るさも確保するとは、当時のZeissは神掛かってますね。1932年って、いつよ?
昭和7年・・・親父が生まれた年だぁ。すげえな。ドイツ。

1947年、接収されたレンズ硝材は、レニングラードのGOI(州工学研究所≠GOMZ 国営光学機械工場)へ送られます。
このGOIは、1914年、シュナイター・クロイツナッハが66%出資した株式会社としてスタートしましたが、ソ連化で国有化されたイワク付きの研究所・工場であります。
まさかねぇ、ドイツの技術でドイツの材料を吟味することになるとはねぇ・・・皮肉だ。
GOI~GOMZは、後にLOMOになりますが、LOMOは、スメナ、なんていう大衆向けのカメラなどを製造していたようです。
スメナ・・・スナ・・・スナイダ・・・シュナイダー。おおっ、シュナイダーを語源にしてないかい?スメナ。

1948年には、KMZがZorki用のレンズとして生産を開始します。
CONTAX用のSonnarをまんまコピーしたとも言われていますが、Sonnarの開発当初版(1929年開発)であった、Sonnar f=2.0も、よくぞ、まとめて面倒を見ようと思ったものですね。
私なら、高性能版のf=1.5しか目に入らないんですけどね。
1950年中には、ZKからJupiter-3(f=1.5)、Jupiter-8(f=2.0)へと呼称が変わります。
1953年、Zeissから接収したガラス硝材のストックが枯渇したようで、Jupiter-3はロシア産の硝材に適合するよう、ロシア国内で1954年に再設計され、リムの形状(レンズの曲率)が修正されたようです。
みんな「よう」で、文末が終わっていますが、1954年にストックが無くなったとの見解もあり、要は1954年には再設計したみたいです。

DSCF4010

右下、「ЗК」が「ZK」ですね。
キリル文字は、数字なんだかワケわかんね。
この角度から撮影しますと、何ということはない、透明に近いレンズ群に思えます。
今回の撮影では、「レンズ自体の色乗り」を撮影できないかと、ワザと白い紙を背面に置いてあります。

DSCF4011

左右の「白色」と比較しても、ややブラウン掛かっているかなぁ・・・程度ですね。

DSCF4012


おっ、暗部ができるようになると、出現しましたね。独特の「緑色」をしているレンズ色が。
一番手前のレンズは、シアン系のコーティングでしょうか。

DSCF4013

この角度では、レンズ自体の「緑色」が出現しているほか、青・緑・緑・赤・赤・緑・黃のコーティングに見えます。てか、このレンズは、レンズ自体の色味がマークとして出現している、と、思います。奥の黄色は確定でしょうか。

DSCF4014


写真では、もやぁ~っとしてますが、明らかにレンズ自体の色味は、「緑色」・「草色」です。この絵で重要なのは、シアン系のコーティング色が出現していることですね。マゼンタ色ではないこと。

DSCF4015

この角度が、人の眼で見た色味ですかね。
シアン・マゼンタ・イエローのほか、グリーンが2枚ありそうです。
奥には、レンズ自体の色味が写り込んでいます。

DSCF4016

やはり、グリーン色のマークは、レンズの色自体の反射ですかね。

DSCF4017

この角度では、やはりレンズ色が鏡筒内各所に反射しているように見えます。

DSCF4020

まぁ、こんなレンズの色味、コーティング色ですね。ZK Red П
「П」は、英語では、「P」と読みますが、「Покрытие」の略で、英語の意味は「Coverage」となり、和訳は、「保護」のようになりますかね。要は、ガラスの上にカバーを掛けましたってこと。

後ろから見ると・・・

DSCF4021


判りません。申し訳ない。左側、2個目にレンズ色のマークが出てますけどね。

DSCF4023


こーんなに、ちっちゃいレンズです。まぁ、レンジファインダーカメラ用のレンズですからね。
レンズの色味も違いますね。
片方は、Carl Zeiss Jena 1Q Biotar Tなしですので、モノコーティングです。
「灰色」っていいますか、黒っぽいですね。
方や、ZKは、Zeiss出身ながらも、緑っぽいってか、緑です。

DSCF4022

絞り1.5 最短距離1mですね。
ちょっと、師に見せるのは、憚られるかと。
・・・んんっ、「DOH」じゃないレンズなんか、ねぇ???

続いて、KMZ Industar-22 П 2.5/50 M39を。
このレンズは、銘板をみていただければ判る通り、1956年製です。
KMZで、Zeissから接収したレンズ硝材は全て使い切ったと思いますので、然らば、2年後の、別のシリーズにならばどうよ、と、いう比較です。

DSCF4030

ロシアレンズらしい、鮮烈なマゼンダ色が出現しています。
ZKでは出現しなかった色味ですね。シアン系もおとなしいように感じました。
でも、レンズの底は、「何か、通じる緑色」をしています。
➡ 「一部は、後数年、キーになるレンズのみに活用した」、は、ないですかね。

DSCF4032

絞り3.5 最短距離0.65mですか。
絞りの基準点と距離環の基準点が不揃いなんですよね。

続いて、れあーモノを。
KMZ Industar-24M П 3.5/105 M39です。
このレンズは、いつ製造されたか、不明ですね。
ロシアの常識では追えない、ブッチ切りのNo.001878だぁ!
・・・あるサイトでは、1960年生産開始。数年で生産終了と、ありました。
まぁ、5年程経過していますが、当時のRed Пですからね。参考までに。

DSCF4024

鮮烈なマゼンタ系はありますね。
奥に、ZKと同色のようなシアン系が確認できます。まー、これはNEW-Jupiter系もそうですかね。
角度を変えて。

DSCF4025

おーっ、このレンズは、Jupiter系のコーティングとも言えるかと思いますね。
撮影が楽しみです。
最近、無精していますが。。。

DSCF4027

私版、「DOH」しちゃいました。。。
マウント側の指標があるパーツは、山が細かすぎるのと、いっちゃっているアルミの材質とで、まんまの状態です。
触れると、崩れそうです。。。






今回は、KMZ=クラスノゴルスク機械工場製の「APO」=アポクロマート=色収差補正のLENSです。
王Tessar以降、「APO」に興味がありまして。。。

このレンズ、結構、レアものかと。
結果から申し上げますと、すげぇLENSでありまして、また1本、宝物が手に入りました。
ゆっくりと、ご覧ください。
ロシア製レンズですが、Helios でもIndustar でもありませんが、素晴らしいレンズです。

IMGP9358-Zenitar


先ずは、ISO 100 開放 1/250 +1.0EVから。

IMGP8983-Zenitar135本番


+1.0EVですが、素晴らしい色乗りですね。
背景も、すっかりBokehてしまい、スタジオで撮影しているかのようです。
解像度も開放とは思えないほど、ケッコーです!!

続いて、ISO 200 開放 1/250 +1.0EVです。

IMGP8985-Zenitar


素晴らしい!!
ピンは、狭いんですねぇ。。。
表現は豊かなことが判る1枚です。
いいなぁ!  こんなステキな1枚が撮影できるレンズがロシア製だなんて。
ドイツ製、どうなワケ???

続いて、ISO 100 開放 1/500 +1.0EVです。

IMGP8986-Zenitar135開放


この1枚では、何がなんだか判りませんが、シリーズで掲載しているので、他のレンズとこのレンズの描写の違いは、感覚として「違う」ことはお分かりだと思います。
ピン部分から、なだらかにBokehているのもいいレンズの証でしょうね。

続いて、ISO 400 開放 1/250 +1.0EVです。

IMGP8988-Zenitar135-本番


ちよっと、赤い部分が「白っちゃけて」いますね。
線の太さは、流石、ロシアンです。
では、絞ったら、どうでしょうか。

ISO 1600 絞り5.6 1/250 +1.0EVです。

IMGP8990-Zenitar135-5.6本番


更に、カチカチになってしまいました。
Tessarが好きな方には、たまらないレンズのようですね。

ISO 400 開放 1/250 +1.0EVです。

IMGP8992-Zenitar135-1.0本番


ちょっと、色乗りが淡くなってしまいました。
クモの糸が描写されているのは良いのですが。

ちょっと絞って、ISO 200 絞り5.6 1/250 ±0.0EVです。

IMGP8993Zenitar135-0.0本番


色乗りが良くなりました。
花も、みずみずしく描写するようになりました。

ならば、得意のマイナスEVで。
ISO 400 絞り5.6 1/400 -0.7EVです。

IMGP8994-Zenitar135-0.7本番


花から、水が滴るかのようですね。
凄い描写です。
色乗りもIndustarともHeliosとも違う。独特の色乗りです。
爽やかでいながら、しっかりとしている。KONICAと較べてみたいですねぇ。。。
KONICAの方が濃いでしょうけどね。

筐体は、どこか富岡チックな筐体です。
富岡を意識したレンズなんですかね。
RIKENONの、豪快にキレる絵とも違いますが。。。

IMGP9360-Zenitar135








【第6話】のPentacon Ernemann Turmのところで、チラッと触れました、KMZのHeliosについて、1話割きたいと思います。
ValdaiのHeliosは【第2話】で取り上げています。

さて、早春の淡い色の桜を写したValdaiと梅雨時のこってりした色味が満載の紫陽花を写したKMZのHeliosでは、何か、差があるのでしょうか?

IMGP8795-HELI-KMZ本番



レンズのコーティングは、モノコーティングですね。
キリル文字ではないので、輸出用ですかね。

それでは、ISO 200  開放、1/4000 ±0.0EVです。

IMGP8056-HELI-2.0本番



解像度が高いんですよね。Heliosって。
色味も、「緑」は濃い目、ディープな感じですね。
Bokehが凄い。ピン以外は全Bokehです。
こうゆう写り方、ほかのレンズにもあったな。
その内に御紹介しますが、「Pentacon electric 2.8/135」って中望遠と同じような階調でBokehますね。
このような、ピン部分のみにフォーカスした絵は、「これですから」がハッキリしていて、判りやすいというか、象徴的といいますか、「あり」な絵ですね。

続いて、ISO 200  絞り5.6 1/500 ±0.0EVです。

IMGP8057-HELI-5.6本番



はっきりしていて、イイ絵ですね。
素晴らしい。

IMGP8802-HELI-KMZ本番


Valdaiか、KMZか・・・被写体の色が色なので、KMZの方が色乗り良しに見えちゃいますが、結論はまた今度ということで。。。
狭いピンは、KMZ。広くピンがイメージサークル全体に来るのがValdaiだと、感じています。
 ➡今の段階では、「KMZ」乗りですね。

ロシアのレンズ製造工場のマーク。いろいろあります。

            Valdai              KMZ

                                            
          (おでん印)         (豆腐屋)

  マークからして、練り物のおでんより、体に優しい植物性蛋白質の冷ややっこかな。
  ➡これから冬に向かうので、時期的におでんにすべきか?


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